中国産チラー工場って本当に大丈夫?キンキンに冷える水風呂に欠かせないチラーの生産工場に行ってきました!

冷たい水風呂大好き!


チラーについては、これまでこのメディアでも何回も取り上げてきました。要するに、ボタン一つで水を冷やしてくれる機械です。
チラーの種類や用途は多岐に渡るので今回は割愛しますが、サウナで用いられる水風呂に使うチラーについて簡単に説明しておきます。

水風呂用途の主要日本メーカーとその特徴

水風呂用途のチラーは、一般的な産業用・空調用とは異なり、小型・静音・高耐久性が求められます。日本のメーカーはそのニーズに応える形で、高品質な製品を多数展開しています。

1. ゼンスイ株式会社(ZENSUI)

熱帯魚用チラーで有名ですが、家庭用・業務用の小型チラーとしても高く評価されています。特に「ZRシリーズ」などは、温度精度±1℃以内の高精度制御が可能で、静音性も高く、個人サウナや1人用水風呂にも最適です。水槽用としての設計を活かし、設置性とメンテナンス性に優れた設計が特徴。

2. 日立グローバルライフソリューションズ株式会社(旧・日立アプライアンス)

業務用チラーでは高いシェアを持ち、大型サウナ施設向けにも採用例があります。高効率インバータ搭載型や多機能温調モデルを展開しており、長時間稼働にも対応。信頼性・安定性重視の施設向けチラーを求める場合に向いています。

3. ダイキン工業株式会社

空調のイメージが強いですが、低温域対応の空冷式チラーやスクロール式コンプレッサ搭載型をラインナップ。特に水風呂用では「高外気温対応」「省エネ」「自動除霜」などの機能が重宝され、温泉旅館や高級スパ施設での導入実績があります。

4. 三菱電機株式会社

産業冷却用の中型チラーが主力で、水風呂用としては多人数向け大型水風呂や施設向けに対応。高効率型・モジュール型もあり、拡張性のある施設設計が可能です。

5. サンユー工業株式会社

OEM供給やカスタム対応に柔軟な中小メーカー。用途に応じた小型・静音チラーの設計に強く、個室サウナ事業者などにも人気。納期や設置条件など、柔軟な対応が可能な点が魅力。

中国産チラーについて

大手電機メーカーも含まれており、基本的に日本メーカーであれば安心だろうという気持ちは強くあると思います。
一方で、中国メーカーの状況についても見ていきましょう。

メリット

1. 圧倒的な低価格

最大の魅力は価格の安さです。日本製チラーの半額以下で購入可能な場合もあり、特に個人サウナや小規模施設にとっては初期投資を大きく抑えられる利点があります。

2. 小型機の豊富なラインナップ

中国では熱帯魚用や医療冷却用など、小型~中型チラーの生産が盛んで、5℃以下まで冷却可能なモデルも多数あります。個室サウナ用の水風呂など、コンパクトな冷却設備として使いやすいです。

3. OEM対応がしやすい

多くの中国メーカーはOEM供給に柔軟で、ブランドロゴのカスタマイズや仕様変更(コンプレッサー・ポンプ選定など)に対応可能。独自ブランドとしての展開も視野に入ります。

デメリット

1. 製品ごとの品質バラつき

品質管理がメーカーによって大きく異なるため、当たり外れがあるのが現実です。冷却能力がカタログスペック通りに出ない、騒音が大きい、長期間の連続使用で不具合が出る…などのケースも報告されています。

2. アフターサービス・修理体制の不安

日本国内に正規代理店がない場合、故障時のサポートが不十分になりがちです。部品調達に時間がかかる、修理費用が割高になるといったリスクもあります。

3. 電気安全やPSE非対応

PSEマークが付いていない製品も多く、日本国内での法的適合性(特に業務用施設)に注意が必要です。コンセントやヒューズ周りの設計が雑な製品も見られます。

総じて、中国産チラーは低コストかつ柔軟な導入が可能な反面、長期の信頼性や法的対応には注意が必要です。個人利用やプロトタイプ段階には適していますが、商用施設では国内検査・安全基準を満たした製品を選ぶのが望ましいと言わざるを得ないかもしれません。

それでも、やっぱり日本産チラーは高い!

しかし、そう言っても、日本産チラーが高いのは事実です。下記は、以前にkokolo saunaのチラー水風呂Hagoromo1の水量(300L~400Lくらい)を冷やすチラーの見積もりを取り寄せた際に、以下の回答がありました。

Hagoromo1では水桶部分も含めて100万円台ですので、チラーだけで200~300万円もするのであれば、とても採算が合いません。確かに、大型のサウナ施設などで使うのであればその費用でも大丈夫かもしれませんが、例えば、簡易な施設にサウナも水風呂も入れようとすると、チラーだけでそんな金額は払ってはいられません。

そうなると、簡易施設系の事業者さんや個人利用するなどのお客様は、中国産チラーを上手に使うということが重要になってきます。

中国産チラー扱い方が大変であるというのは、やり方を知らないだけ

「中国産チラーを使おうと思って輸入してみた時期もあったけど、やっぱり壊れやすいから取り扱いはやめたよ」ということを仰っていたサウナストーブの関連の社長さんもいらっしゃいました。
おそらく、他のサウナ業者さんも同じような気持ちなのでしょうが、なかなかチラーには手が出せないというのが実情でしょう。
もちろん、すべてのもの(事業)に手を出す必要もありませんが、基本的にサウナと水風呂はセットなわけなので、サウナ事業に関わるのであればやはり冷たい水風呂を用意することは事業者としての責務であるようにも感じています。
長いこと電気認証の代行会社をやっているのでわかるのですが、チラーに限らず、中国産の機械って扱いが大変なのです。工場は言ったとおりにやらない、不良もそれなりにあるなど、それの言うことを聞かせるのはかなり難儀をします。ここで根気がない事業者は、「中国産は使えない」と言ってすぐに諦めてしまいます。

しかし、一方で、中国で作らせた機械などを販売して大儲けしている会社があるのも事実です。中には、中国工場に対する生産管理コンサルタントという仕事をしている人もいます。要するに、中国工場にちゃんと物を作らせたかったら、そのやり方を学んで、実践すればよいだけなのです。

当社では、そうしたノウハウもありますので、チラー工場とじっくり付き合いながら、不良などが少なるように管理を続けています。

チラー工場見学の様子

​当社が利用しているチラー工場は2000年代に設立され、中国・深圳に本社を置くアイスバスチラー(冷水浴用チラー)の専門メーカーです。 ​同社は、研究開発から生産、販売、サービスまでを一貫して手掛ける国家級ハイテク企業であり、冷却療法用チラーおよび産業用チラーの分野で多数の特許を保有しています。

主な特徴と強み:

  1. 製品の多様性と高性能: 0.3馬力から2.0馬力までの幅広いアイスバスチラーを提供しており、家庭用から商業用まで多様なニーズに対応しています。 これらのチラーは、3℃から40℃までの温度調整が可能で、冷却と加熱の両機能を備えています。 
  2. 高度な技術と品質管理: 同社は、冷媒循環システムや電気システムの製造において最新の技術を採用し、精密な品質管理を行っています。 これにより、高性能で信頼性の高い製品を市場に提供しています。
  3. カスタマイズ対応とOEM/ODMサービス: 顧客の特定の要件に応じた製品のカスタマイズが可能で、OEMやODMサービスにも柔軟に対応しています。 これにより、ブランドロゴの追加や仕様変更など、独自性の高い製品開発が実現できます。
  4. 国際的な認証と品質保証: CE、ETL、PSEなどの国際的な認証を取得しており、品質と安全性が保証されています。 また、全製品に1年間の保証が付帯し、24時間365日のアフターサポート体制を整えています。

なお、Hagoromo1で使用しているチラーは出力容量の関係でPSE対象外でありますが、それでもCEやETLの認証はしっかりと行っています。 

  1. グローバルな展開とサービス拠点: 深圳と上海に拠点を持ち、米国カリフォルニア州オンタリオにも修理部門を設置するなど、国際的なサービスネットワークを構築しています。 

同社は、高品質なアイスバスチラーの提供を通じて、健康とウェルネスの向上に貢献することを使命としています。 

中国工場というのはこうした情報だけではなく、やはり実際に見に行ってみることが重要です。しかし、ただ行くだけでは何も得られませんので、事前に生産管理コンサルタントに相談して、工場担当者と約束を取り付けて、具体的に何を確認したいのか、などを明確にする必要があります。

チラーショールーム、サウナの展示もある

組み立ての様子

組み立ての様子

数多くの完成品が並ぶ

数多くの完成品が並ぶ

品質管理シートが並ぶ

品質管理シートが並ぶ

コンサルタントによる品質管理体制の確認

オフィス部分の様子

何回もテストを繰り返すなど、かなり入念に管理され生産されているという印象でした。また、オフィスワーカーの人間も海外への販売に余念がありません。相応なメーカーであると感じています。

しかし一方で、機械生産での不良率0%というのは現実としてあり得ない状況であり、そのことを見越した発注管理、日本での販売管理は必要ですし、都度都度に工場に対して不良のフィードバックも必要になります。
また日本国内においても不良など発生した際に、自ら機械を分解して確認する体制を持つことが重要になってくるわけです。

日本国内での分解作業の様子

日本国内での分解作業の様子

日本国内での分解作業の様子

中国産チラーでもしっかり冷えて、水質検査にも合格

こうした活動を通じて、日本に輸入されているkokolo saunaのチラーですが、その品質は申し分なく、以下の動画のように冷たい水風呂を楽しめるように頑張ってくれています。


また一方で、厚生労働省の基準で定められた水質検査にも合格しています。

kokolo sauna静岡県正規代理店~Private Sauna 響葵~で水質検査を実施

サウナ施設で毎日使用されているHagoromo1の水質基準が、厚生労働省が定める厚生省生活衛生局長通知(平12.12,生衛第1811号, 改正 冷02.12生食発1210台1号)に適合
色度、濁度、水素イオン濃度(pH)、過マンガン酸カリウム消費量、大腸菌、レジオネラ属菌、すべての項目における水質基準をクリアしました。

Private Sauna 響葵では2台のHagoromo1を設置していますが、その両方で基準をクリアしています。
特に、レジオネラ属菌の項目は基準が大変厳しくありますが、Hagoromo1の特徴の一つでもある「オゾンろ過」機能を用いるなど、しっかりと基準をクリアしています。同店での、水質検査は今後も定期的に実施される予定です。

kokolo sauna プレスリリースより引用/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000044341.html

kokolo saunaでは一人でも多くのサウナ愛好家の方に、冷たい水風呂をご提供できるように中国チラー工場の生産体制の部分から管理を行っております。皆さんが水風呂を冷やすチラーを選ばれる際のご参考になれば幸いです。

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